くよくよ悩んでしまう、嫌なことばかり思い出す、心配が止まらない状態からの抜け出し方

仕事でミスをしてしまい、上司に怒られて嫌みを言われてしまいました。「なんでこんなミスをしてしまったんだろう…」、「そんな風に言う必要ないのに…」とくよくよ考えてしまいます… 思い返すとイライラが止まりません…
昨日、洗濯機を購入したのですが、今日になったら半額になっていました。失敗したなと悔やんでも悔やみきれず、頭から離れません…
家の窓を閉め忘れたかもしれません、うちの猫が逃げていないか心配です…

上記のような悩みは大小様々かもしれませんが、くよくよ考えてしまうと、気分は落ち込み、目の前のことに集中できず、寝付けなくなったり、楽しい活動への意欲が低下したり、暴飲暴食が増えたりしてしまいます(1)。

今回は、過去の嫌な出来事について繰り返し思い出してしまったり、心配事が止まらなくなってしまった時の対処法についてご紹介します

自分視点から距離を置く

1つ目は、くよくよ考えてしまう出来事に対して、自分視点から距離を置くことです。研究では、自分視点で考えた場合に比べて、20%ほど抑うつが低下し、1週間後に同じこと思い出したとしても嫌な気持ちが軽減し、その間に嫌な出来事を思い出す頻度も減ることが報告されています(2)。

自分視点から距離を置くことには、客観的、時間的、空間的、仮説的な視点があると言われています(3)。

例えば、客観的視点では、「友人が同じ悩みを抱えていたら、なんと声をかけるか?」や「一歩引いて背後霊の視点で考えてみたらどうか?」、「専門家はどう考えるか?」というように考えてみてください。
仕事でミスをした同僚に声をかける場合は、「誰でもミスはするよね。美味しいごはんでも食べに行こっか」と思えるかもしれませんし、専門家として考える場合は、「次はミスをしないようにチェックリストを作ろう」と思うかもしれません。

時間的視点では、「小学生の時の自分が同じ悩みを抱えていたら、今のように自分を責めるか?」、「10年後この悩みは自分に存在しているか?」、「10年後からこの状況を見るとどうか?」などと自分目線ではあっても時間の視点をずらして考えてみます。なんとなくの将来ではなく、具体的に10年後、20年後などの視点から想像した方が効果が高いようです。小学生に対してはもっと優しくなれるだろうし、10年後の視点なら他のことに集中した方が良いなとか今しかできないことだから頑張ってみようなどと思えるかもしれません。

空間的視点を用いれば、地球の裏側の人たちは自分の悩みなんか気にしていないよねと思えます。

自分視点から距離を置くことで、嫌な経験を再構成することができ、何度も何度も嫌なことを頭の中で再現してしまうことから解放されます。他にも外国語でその状況を考える、ノートにその出来事や感情を書き連ねるなどにより、合理的あるいは客観的に考えることができます(4)。

他のことに意識を向ける

くよくよと考えてしまうことについて研究してきた研究者は、注意を他に向けることが重要であると提案しています。例えば、嫌な出来事について考えた後に、「日本の都道府県は47個である」のような全く関係のないことを考えると気分が良くなることがわかっています(5)。

好きな映画を見てみたり、他の仕事をしてみたり、友達とお出かけするなど夢中になれたり、心地よかったり、無害であることに集中してみてください

この方法は、簡単に行うことができ、即効性がありますが、ネガティブな出来事に対する自分自身の考えや状況は変わっていないため、長期的には役に立つ方法とは言えません(6)。少し気分が楽になったら、その出来事の問題を解決する行動を起こすことが大事です。

感謝する

日常に感謝することで、くよくよ悩んでしまうことが減ることがわかっています。研究では、感謝をする生活を始めて1週間や3ヶ月後には明確な効果が現れていました(7)。研究で用いられた感謝の演習は複雑ですが、例えば以下のようなものが挙げられます。

  • 何か良いことがあったら写真を撮って記録をつける
  • 人生に感謝する
  • 感謝を誰かに表現したり日記をつけたりする

普段意識はできていないけれど、日常で感謝できることはたくさんあります。ここまで生きてこられた、家族がいる、美味しい水が飲める、エレベーターのボタンを押したらすぐに来た、たくさん眠れた、仲の良い友達に会えた、スマホを持ってる、ネットフリックスで好きなアニメを見られる、本がいつでも読める、上司は嫌いだけど時間を取って資料の添削をしてくれるなど、世の中には「ありがとう」が溢れていると思います。

瞑想をする、言葉を捨てる

瞑想もくよくよ考えてしまうことへの抑制に有効です(8)。瞑想には様々なものがあり、初めての方には難しいかもしれませんが、以下のような動画を参考にするとわかりやすく実践しやすいかと思います。

呼吸に集中する瞑想の効果が多くの研究で確認されています(9)。

禅の目的である「言葉を捨てる」という表現が頭を空っぽにできて私にはしっくりきています。英語があまり喋れない時に英語だけで考えようとすると、頭が空っぽになることが何度もありました。言葉がなければ嫌な発想を膨らませることは難しいです。

自然に触れる

自然に触れるとリラックスしやすく、ネガティブなことを何度も考えてしまうことを抑制できます。森林浴の研究では、市街地を散策した参加者よりも森林散策をした参加者は、ストレスホルモンや血圧、心拍数が低下していました(10)。

また、30〜90分自然豊かなところを歩くと、都市部を歩く場合に比べて、くよくよ考えることが減り、精神疾患に関連する脳の活動も低下するようです(11)。

研究では、庭園(パラーシオ・デ・クリスタル庭園)などが使用されています。また、動画でも効果が確認されています(12; 使用された動画はこちら)。

自然の動画を見たり、自然のある公園を少し歩いてみたり、休みの日に庭園に行ったり、キャンプをしたりしてみると、悩みが減るかもしれません。

具体的に考えてみる

くよくよ考えてしまうことが悪いのは、解決策なくなんとなく考えてしまうからだと言われています(1)。「なぜ」「いつも」「どうして」といった抽象的で一般化された問いが、ネガティブな感情を長引かせます。くよくよ考えてしまうくらいなら、具体的に事実ベースで考えた方が良いことがわかっています(13)。

具体的に考えるには、以下の質問に答えると良いです。

  • 何が起きたのか
  • どんな順序で起きたのか
  • 次にできることは何か

例えば、上司にミスを指摘され、なぜこんなこともできないのかと怒られた場面を思い出した場合、「自分の能力や性格が仕事に合っていないのではないかと落ち込む」代わりに、「昨日は他の仕事の対応に追われミスを犯してしまったので、とりあえず今はすぐにミスを修正する行動を取るべき」のように考えます(14)。
ネガティブな出来事や感情に支配されるのではなく、出来事の具体的な事実や細部に注意を向けられると良いです。

症状がひどい場合

症状がひどい場合は、かかりつけ医に相談することをオススメします。非薬物療法である認知行動療法やマインドフルネス療法は、ネガティブな反復思考の減少に効果があることが示されています(15, 16

  1. Watkins, E. R., & Roberts, H. (2020). Reflecting on rumination: Consequences, causes, mechanisms and treatment of rumination. Behaviour research and therapy127, 103573.
  2. Kross, E., & Ayduk, O. (2008). Facilitating adaptive emotional analysis: distinguishing distanced-analysis of depressive experiences from immersed-analysis and distraction. Personality & social psychology bulletin34(7), 924–938.
  3. Powers, J. P., & LaBar, K. S. (2019). Regulating emotion through distancing: A taxonomy, neurocognitive model, and supporting meta-analysis. Neuroscience and biobehavioral reviews96, 155–173.
  4. Kross, E., Ong, M., & Ayduk, O. (2023). Self-reflection at work: Why it matters and how to harness its potential and avoid its pitfalls. Annual Review of Organizational Psychology and Organizational Behavior10(1), 441-464.
  5. Nolen-Hoeksema, S., Wisco, B. E., & Lyubomirsky, S. (2008). Rethinking Rumination. Perspectives on psychological science : a journal of the Association for Psychological Science3(5), 400–424.
  6. Kross, E., & Ayduk, O. (2008). Facilitating adaptive emotional analysis: distinguishing distanced-analysis of depressive experiences from immersed-analysis and distraction. Personality & social psychology bulletin34(7), 924–938.
  7. Heckendorf, H., Lehr, D., Ebert, D. D., & Freund, H. (2019). Efficacy of an internet and app-based gratitude intervention in reducing repetitive negative thinking and mechanisms of change in the intervention’s effect on anxiety and depression: Results from a randomized controlled trial. Behaviour research and therapy119, 103415.
  8. Hilt, L. M., & Pollak, S. D. (2012). Getting out of rumination: comparison of three brief interventions in a sample of youth. Journal of abnormal child psychology40(7), 1157–1165.
  9. Broderick, P.C. Mindfulness and Coping with Dysphoric Mood: Contrasts with Rumination and Distraction. Cogn Ther Res 29, 501–510 (2005).
  10. Park, B. J., Tsunetsugu, Y., Kasetani, T., Kagawa, T., & Miyazaki, Y. (2010). The physiological effects of Shinrin-yoku (taking in the forest atmosphere or forest bathing): evidence from field experiments in 24 forests across Japan. Environmental health and preventive medicine15(1), 18–26.
  11. Lopes, S., Lima, M., & Silva, K. (2020). Nature can get it out of your mind: The rumination reducing effects of contact with nature and the mediating role of awe and mood. Journal of Environmental Psychology71, 101489.
  12. Cadogan, E., Lionetti, F., Murphy, M., & Setti, A. (2023). Watching a video of nature reduces negative affect and rumination, while positive affect is determined by the level of sensory processing sensitivity. Journal of Environmental Psychology90, 102031.
  13. Watkins, E., Moberly, N. J., & Moulds, M. L. (2008). Processing mode causally influences emotional reactivity: distinct effects of abstract versus concrete construal on emotional response. Emotion (Washington, D.C.)8(3), 364–378.
  14. Takano, K., & Tanno, Y. (2010). Concreteness of thinking and self-focus. Consciousness and cognition19(1), 419–425.
  15. Querstret, D., & Cropley, M. (2013). Assessing treatments used to reduce rumination and/or worry: a systematic review. Clinical psychology review33(8), 996–1009.
  16. Mao, L., Li, P., Wu, Y., Luo, L., & Hu, M. (2023). The effectiveness of mindfulness-based interventions for ruminative thinking: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Journal of affective disorders321, 83–95.
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